この数年、働き方改革やコロナ禍を経て、ビジネスパースンの働き方を支えるオフィスの在り方が大きく変化しました。たとえば、集中を要する仕事、コミュニケーションがメインの仕事、そしてチームで行う仕事といったタイプ別に、それぞれに適したワークプレイスが用意されるようになっています。
中でも、生産性の向上が重要で、新たなイノベーションが生まれることが期待される働き方は、「チームワーク」でしょう。チームの運営次第で、非効率だったり、成果に結びつかなかったりすることもあるからです。
まして、コロナ禍によってリモートで参加するメンバーが増え、顔を合わせることが難しくなった今、チーム運営はどのようにすればいいのでしょうか。
Googleが「プロジェクト・アリストテレス」(2012年)という企業向けリサーチで、「社内で最も高いパフォーマンスの高いチームの特性」として挙げたものがあります。
それが「心理的安全性(Psychological Safety)」です。
「心理的安全性」とは、わかりやすく言うと、チーム全員の意識の方向性が同じで、個々の社員の気持ちとチーム全員の気持ちがピッタリ合っているということです。
日本人の感覚で言うと、チームのメンバーが臆せずに「率直な意見」を出すには、それを許容する“空気”があることが前提になります。その“空気”こそが心理的安全性なのです。
そのようなチームなら、改善案など言いたいことを周囲の目を気にせず、気を遣うことなく言い合うことができ、成果を出しやすいといえるでしょう。
逆に心理的安全性がなければ、優秀な人材が流出してしまう可能性すらあります。
しかし日本では、そのような理想から遠い職場が大半を占めているかもしれません。
なぜなら、長年にわたる年功序列や、ジェンダー指数でも明らかな男女の不平等など、「心理的安全性」とは真逆の“上下関係に基づく序列”が、職場の空気を構成する基本になっているからです。
心理的安全性を確立するために会社ができること、オフィスができることは何でしょうか。