オーナー経営者から引く手あまたの企業組織変革コンサルタント

【ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役社長 安澤武郎氏インタビュー】

ミッションを達成し、顧問先の企業を去るときには、社員総出で見送られる。そんなコンサルタントがいます。京都大学時代には、アメフト日本代表に4回も選出されて活躍。しかも、コンサルティングには関係がないようなテーマの著書を2冊も出している。

それが、ペネトラ・コンサルティング株式会社の安澤武郎代表。一体、どんなコンサルタントなのか。強い興味を抱きながらの取材開始となりました。

企業・組織のライフサイクル診断から見えてくること

一口に「コンサルタント」と言っても、手がける領域はさまざまですが、どんな仕事をされているのでしょう。

ペネトラ・コンサルティング株式会社代表 安澤武郎氏インタビュー「最近は、主に2つのサービスに取り組んでいて、1つは営業組織の改革プログラム。市場が飽和して成熟して競争環境が厳しくなっているので、どんどん攻めていかないといけない。だけど、攻める力が足りないので、営業組織の力量アップをしよう、顧客との接し方を変えようというのがありますね」「もう1つは、そもそも今、何が課題なのかわからない。でも、このままだと市場が小さくなっていく。その中で、何から着手していいかわからない。そんな企業を対象に、ちょっとユニークな診断サービスというものを提供しています」

ユニークな診断サービス。一体、どんな?

「組織のライフサイクルという観点で診断するんですね。組織のライフサイクルというと、人間も、子どもからどんどん大人になって成人して歳をとって死んでいくわけなんですが、企業体、組織体も同じように小さい時から成長していく。最初は創業者がこういうことを世の中に提供していきたいと思い立って、情熱しかなくて人脈も何もない。そういう時に人を巻き込んで事業として成長させていく。社員が5人から10人になり、20~30人になると、その人たちの気持ちや仕事をマネジメントしなければいけなくなります」

なるほど。
人間の一生のように、組織の一生を「ライフサイクル」と呼んでいるんですね。そして、年齢とともにさまざまな変化が起こってくると。

「マネジメントというか、役割分担をちゃんと決めてチームにしていくんですけれども、その中で、管理側と現場側で今度はコンフリクト(衝突)というか、意見が合わなかったり。もっと自由にやりたいとか、もっときっちりと決まり通りやりたいとか、そんなぶつかり合いが起こります」

どの組織でもありがちだと言われていることですね。

「もう少し現場に力を持たせてやろうということで権限委譲したり、権限委譲をすると現場や顧客の様子がわからなくなったり、そういうジレンマを克服しながら組織は大きくなっていくんですよね。そして、もっと大きくなっていくと、創業時のメンバーじゃちょっと御せないようになってきます。そこで、他から人を入れたりすると、企業文化が違ったりして」

でも、それは自然なことですよね。

「自然なことです。企業のステージごとに、あっていい問題とあっちゃいけない問題があると思うんですね。人間でいうと、子どもの時にちょっとやんちゃしちゃうっていうのはあっていいんですけど、大人になってからもやっていたらおかしい」「だから、その成長段階に合わせて、今これを解決しないといけないんじゃないかということをちゃんと見極めたり、その時だけのことを考えるのではなく、次のステージを見越して流れの中で意思決定をしていくことを支援しています」

たしかに、その成長段階ごとのルールを身につけていかないと大人げないですし、さまざまな問題が起こりますね。

営業組織の変革で、今、必要な”攻め”とは

営業組織の変革についてのサービスについてはどうでしょう。

競争環境が厳しくなっているので、どんどん攻めていかないといけない、とおっしゃっていましたが。

「たとえば、ホテル業界だとすると、ネットとかで個人客が申し込むのを待っている待ちの商売に対して、自分から旅行団体客を獲得しに行くというのが攻める、ということ」「もう1つが、積極的に顧客を啓蒙していく、ということ。それが2番目の攻める、です。」
「たとえば、ペットボトルの水って、今では普通にお金出して飲んでるけど、私の子どもの頃は売ってなかったんです。だからそんなのにお金払うの?という感覚があったんですよね」

わかります。お水にお金を出すのは今でも意味がわからないというか、納得できないというか。

「そういう人には、お水って、ちゃんといいものを飲んでないといけないんだよ、ということを啓蒙して、元々欲しくない人に欲しいと言ってもらわないといけないんですよ。」

買いたい人に売るだけではだめだ、ということですね。

「そうです。それがちゃんと出来ないと売れない時代になってる。そういう啓蒙するという力が足りない企業が多いのです。なぜなら、やってきていないから。業界の常識、世間の常識を変えていくリーダーシップが必要なのに、形ばかりの提案を提案営業と呼んだり、顧客の声をヒアリングして終わっている営業組織が多い」

今までの営業が、水を欲しがっている人を探すだけ。それについて、欲しくなかった人を欲しい人に変えていくというのが、これからの攻めの営業、ということでよろしいですか?

「そうです。私のお客様は空気を売ったりしています」

えっ、空気を売る?空気の缶詰みたいな、怪しい商品だったりして。

「具体的には、空気をきれいにするものを売ってるんです。今までだったら空気のきれいさなんて気にもしてないから、そんなものいらない、となりますよね」

そうですね。

「ですが、子供の過ごす空気中に化学物質があったり、子どもは大人の2倍空気を吸う、と知ったら、ちょっと気になりませんか」

あっ!子どもの健康のことが気になります。悪い空気を吸って欲しくない、と思います。

攻める、といっても、もちろん乱暴なことではなくて、そういった情報を与えていって、啓蒙していくということらしい。

「その結果、じわじわと普及していっています」

なるほど。

部外者としてのコンサルタントに求められる役割とは

でも、会社からすれば部外者であるコンサルタント。

組織の中に入っていって信頼されるのはたいへんなはず。

安澤さんのクライアントも、そんなに小さな組織ばかりでもないでしょうし。

「私のお客さんは、社員数50名以上、大きくて3,000人くらいですね。そういう会社の経営者からお呼びがかかります」

安澤さんには、経営者から、売上げを伸ばしたいという相談を受けることが多いそう。そして、ちゃんと継続的に売れる仕組みを手に入れたいという期待が大きいそうです。

そんなクライアントの期待に確実に応えてきた安澤さんですが、オーナー経営者相手に、組織を変革していくことは、そう簡単ではないはず。

「今の時代は、知的な作業、チームでの創造的な対話をすることは必須です。本当に知的な人というのは、その人が存在することで周りのメンバーが触発されてアイデアが生まれる人だと思いますが、オーナー経営者は立場上、社員とフラットな議論をしにくかったり、本音での対話がしにくいということがあります。中には、社員が社長の考えを慮るばかりで、喜んでもらえるような話しかしない場合もあります」「そこで、私が間に入って、フラットな率直な議論をできるようにしたり、新しいアイデアを生み出す場を構築しています。どこの企業も社長が先頭を走っていますので、社長の話が社員に理解できない場合なども外部の存在としてそのGAPを埋めることができます」
「診断サービスでも、さまざまな認識のギャップが発見できます。あの人はそんなことを考えていたのか、とか。わかり合えていたつもりがまったくわかり合えていなかった、ということが多くあります」

安澤さん自身も、その診断サービスの精度に驚いているそう。

安澤さんの知識や経験に基づくノウハウとその診断サービスが組み合わされることで、より的確な組織変革が進められているため、成果も出やすくなっているとのこと。

コンサルタントとしての喜びはどこにある?

ところで、そんな安澤さんの一番の喜びとは、なんでしょう。
ペネトラ・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 安澤武郎氏

「自分がコンサルしたお客様が、その取引先のお客様から、こういう話をしてくれてありがとうと感謝されたり、他の会社もこんな提案を持ってきてくれたらありがたいよね、という感じで、業界の中で評価される存在になって成功しているというのが嬉しいですね」

お客様がそのお客様から評価されているのは嬉しかったりしますね。

「また、あるお客様の採用活動の様子が、全く変わってしまったこともあります。その会社を訪問した就活生が、100%入りたいと言うようになったのです」

営業だけではなく、採用でも!やはり、そこはつながるんですね。

聞けば、組織変革の結果、働いている人の雰囲気が良くなったことで、そういう空気を敏感に感じ取った就活生からの評価が飛躍的に高まったとのこと。

確かに、多くの会社を同時期に観察している就活生は、そういう組織の空気を察知するのに長けていてもおかしくないですね。

「だから、私自身のことを褒めてもらえるよりも、私のクライアントが評価されたことが嬉しいかな」

言ってみたい台詞です。

できる男。

そんな、できる男は、これからどうしたいのでしょう。

「様々な業界にインパクトを与えたいというのはありますね。当社のクライアントは、組織力という観点で、それぞれの業界ナンバー1になってもらいたいと思っています」「その会社の働き方や経営のあり方がモデルになって広まっていけば、世の中を少しましにできるんじゃないかと」

そんな気持ちが社名やロゴマークにも込められているそうです。

「ペネトラは、ペネトレイトという言葉から来ています。この言葉には、突き抜ける、浸透させるという意味が両方あるのです。突き抜けた存在が新しい価値を世の中に浸透させていくという、そういう突き抜けた存在を作っていく、そういう連鎖を作っていこうということです」「中心に突き抜けてく形が広がってる。そして、私はこの淵に立つ存在みたいな」

やや照れながらも、誇らしげにロゴマークの意味を説明する、イチロー似の安澤さん。

※イチローに似ていると言ったら喜ぶという事前情報をゲットしています。私はそんなに似ているとは思いませんでしたが

そんなイチロー、いや、タケローに、創業時、独立時のことも聞いてみました。

「元々コンサルティングファームにいて、お客様から出向して欲しいという依頼があって、そこのお客様の社員として仕事をしていました。そこそこ大きな企業で歴史もある企業だったので、本当に体質を変化させていくのは歯ごたえのある仕事でした。」「短期ではなく、中長期で1つの企業に入ってやってみると、経営の難しさをまた違った側面で感じることがあって、自分のスタイルでコンサルティングを提供していきたい、と。そう思って独立しました」

独立後の悩み、ジレンマ

独立してから順調に成果を上げてきた安澤さん。

そんな安澤さんが現在抱える悩みというか、ジレンマもあるそうで。

「企業にどっぷり入ってやる仕事なんで、同時にたくさんのお客様に提供することがなかなかできなくて、パートナー企業と連携してやったりしてるんですけど、自分の分身をどう育てるのかとか、もっと多くの人に提供したいのに提供できないとか、そういうジレンマはありつつやってますね」

これからは、どうしていきたいのでしょう。

「そうですね。これまでと変わらず、志はあるが組織を御しきれていないとか、未来の姿を描けず困っている経営者を支援していきたいと考えています。生みの苦しみを経て、自分の世界観を世の中に広めていくことはベンチャーであろうが、大企業であろうが、老舗企業であろうが同じです。」「業界だけじゃなくて、その地域を変えてやるというのでもいいし、先代から引き継いだ世の中を自分たちの力で少し良くしていく、自分達の子ども世代に少し良くなった世の中を引き渡していくというコンセプトがある人と一緒に仕事がしたいのです」

やる気だけはあっても、なかなか行動がついていかないという問題をほとんどの企業が抱えていると思いますが、その点を突っ込んでみると、こんな答えが返ってきました。

「理屈からいけば、動くリスクと動かないリスクがあるので、そういうのをちゃんと整理して、今動かないとどういうことになるのか、という将来予測をしてみたり、動かない人がどうなったかという身近な事例を共有したり、数字的に動くと動かないでどう変わるのかを示してみたり、そういうことで動機付けをすることはあります」

さすがに、精神論ではない、きちんとしたノウハウがあったのですね。

事前に用意していた質問以外のことでも、これだけ立て板に水のように答えが返ってくるあたり、プロだなぁ、と感じました。

「特に未来のことなんで、起きて痛みを感じるまで動きにくいじゃないですか、人間って。出口の部分は具体的に示す、あとはやりましょうよと。こっちが相手以上に本気になって、ここの社員の人達が幸せになるにはどうしたらいいんだと、やるしかないやんかという、自分の中に確固たるその企業の未来の姿を描いて、肚を決めることができれば、組織は少しずつ動いてくれる」

なるほど、熱いだけじゃなく、冷静な頭脳も持ち合わせているのですね。

「営業もそうですよね。これからAI時代になって、AIがどういう話をしたらいいか教えてくれる。だけどそのストーリーが肚に落ちしてない営業マンはその言葉に力がないので売れない。だから頭だけではダメで肚が大事やでということを、今教えてます」

出た!人工知能の話。

やはり、AI活用のことは、みんなきちんと勉強しているんですね。

「今、時代的には攻めてく営業だし、啓蒙しなきゃいけない営業なんで、相手がやりたいこととか業界のことを事前に調べて、ちゃんと考えることが営業力になっている。しかしこの先、ちゃんと系統立てて調べたりとかする部分はAIがかなりやってくれるようになるんですよ。そうすると、自分が実際に接する時の話し方というところで差がついてくるんですけど、やっぱりAIの出した答えを自分のストーリーにどう組み込んでいくかとか、恐れずに早く失敗して自分の中で確信を高めていくか。そういった人間の要素が大事になってくると考えています」

AIを味方にするために、AIを信じる必要があるということですね。

ところで、安澤さんは、京都大学や日本代表のアメフト選手として活躍されましたね。
京都大学や日本代表のアメフト選手として活躍した安澤さん

「京都大学は、個々の選手の運動能力としては弱いんだけど、強豪に勝って日本一になったりするというのは、まさにそれをやってるわけですね。個の力ではなく、組織の力です。私はディフェンスだったんですけど、全部を守ろうとしても守れない。ある程度は捨てて、ここで勝負するというところを決めて勝負するから、強い相手にも勝てたりするんですよ」

ちなみに先週末に久しぶりに軽くアメフトをして、それ以来三日間、筋肉痛で脚が動かなかったそう。

すぐに筋肉痛がきたのは若い証拠だと伝えると、うれしそうでした。

男は単純。

できるコンサルタントがパートナーとして求める人材とは?

安澤さんは、人材を求めているそうですが、一緒に働く人はどんな人がいいでしょう。

「30才前後で、ちょっとビジネス経験があって、次の自分の人生の中でもっとインパクトのある仕事がしたいなという方がいいですね。将来、家業を継ぐような人もいいかもしれないですね」「自分の息子を鍛えたいという場合に、うちでやってみるといろんな企業を見れるし、実際入り込んでがっつりやるんで、ただ外からこうしたらいいですよ、と助言するだけじゃないので、その辺は人を動かす難しさが理解でき、ものすごく鍛えられると思います」

特にオーナー経営者の子息などは、古株の社員などからは、なんであんたの言うことを聞かなきゃいけないの、というような態度をされたり、大変そうです。

ところで、安澤さんが出された2冊の本についても聞いてみました。

安澤武郎著「壁をうち破る方法」
「壁をうち破る方法」(安澤武郎著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
安澤武郎著「ひとつ上の思考力」
「ひとつ上の思考力」(安澤武郎著、クロスメディア・パブリッシング)
「1冊目は名刺代わりに本を書こうと思ったんです。自分のやってきた経験から、いろんな人にもっとリスクを恐れず挑戦して欲しいなと。挑戦できない思い込みの壁とか、アクションを起こすと失敗するのが怖いという壁とか、そういう壁のことをちゃんとわかって挑戦してくださいね、と」「2冊目は、仕事をしたり勉強をしたり何をするにも、まずちゃんとその戦い方を考えてから戦いましょうと。『ドラゴン桜』の話も載せたんですけど、東大受験するといっても受験の仕方、どういう勉強をすれば受かるのか、そもそもどんな試験が出るからどんな力を身につけなきゃいけないとか、そこをちゃんと分析して何を学べばいいかと作戦を決めてからやれば受かりやすいのに結構してないんですよ。東大の医学部に入っても、戦い方を学んでない人は国家医科試験に受からないことがあるわけですよね」

男はすぐに野球の話をする。

「最近読んだネットの記事で、阪神の選手は狙いがないというのがありました。だけど、広島の選手はちゃんとやるべきことを理解していて無理に引っ張らないとか、待ってる球が何かとか傍目に見てて狙いがよくわかるようです。そういう狙いを組織として持ってプレーしてると、極端な話、実力が相手より低くても勝てるわけですよね。弱者が強者に勝てる、まさに京大でやってきたことなんですけども。」

そういう学習の仕方を学習するとか、仕事の仕方を学習するとか、戦い方を学習するとか。そういうことをするともっと世の中の人は、意味のある仕事ができたり、無駄なことしなくてすむ。

安澤さんの著書には、そんなことが書いてある。

アイデアがよく思いつくバーがある

3冊目は、ちょっと変わって、夜の遊び方の本を書こうとしているそうです。

またまた、方向性が変わっていますね。アメフトのボールのよう。

「じつは、お酒が好きなんですが、アイデアがよく思いつくバーがあるんです。そのアイデアが降ってくるバーの機能をいろんな企業に持たせたいと思ってるんですよ」

え?企業にバーを。なんかITバブルの時代にあったような話。

「昔、日本の住宅に縁側ってあったじゃないですか。近所の人たちも集まってくるような情報交換の場。あれと同じように、企業にも縁側があっていいんじゃないかと思って。縁側機能。営業組織の話をしていましたが、顧客との接点・社会との接点こそが新しい価値を生み出す場なのです。その接点をうまく混じり合わせるのに、どうしたら良いんだろう?って考えていたら、一つの答えがバーだったんです。ITバブルの時の社員クラブは社員に役員を接待させる場になっていましたが、そうではなくて、戦国時代でいうところの茶室と同じような空間ですね。日常の鎧を脱いで、五感の感度を高めるという点が大事なような気がします。無駄を省くだけでなく、そのような空間を企業は構築していくべきではないか?と。茶室に茶人が必要なように、バーにはバーテンダーが必要で、私も、そこでバーテンダーをして……」

安澤さん、その続きは、今度、バーで聴かせてください。

インタビュアー 榎並千陽

ペネトラ・コンサルティング株式会社 代表取締役社長 安澤武郎氏インタビュー

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