長く使える家具が欲しくなる、感動の家具修理屋さん!

【日正産業株式会社
代表取締役 出村 純氏インタビュー】

今の時代、家具の修理業者さんが活躍しているなんて、私、榎並はちょっと想像したことがありませんでした。
家具の修理やリフォームを手がけるインテリアドクター
そんなインテリアドクターを創業し、展開する日正産業株式会社(東京都中央区新富)の出村純社長にお話を伺いました。

古くて愛着がある家具が蘇ることの喜び

まずは事業内容の説明から。

「お客様が日常使われている家具が壊れた時、たとえば、大切なたんすの扉が外れてしまった、椅子がグラグラするだとか。そういうときに、訪問して修理するというサービスです。東京に営業所や修理拠点がない地方の家具メーカーさんの代わりにアフターサービスを代行することもあります」

長年の愛着とか思い出を、形を変えて残すというのが会社のポリシーなんだそうです。

日正産業株式会社 代表取締役 出村 純氏インタビュー「たとえば、引っ越す時に、愛着がある大きな家具を残したいけれど、新居には置く場所がない。そんな場合には、私たちの技術でその家具を少しスモールサイズにして置いてもらえるように加工したりしています」

なかなか家具を加工してもらおう、という発想にはならずに、買い換えようとする人がほとんどだと思います。

一般家庭のお客様が多いようですが、お店などからの依頼も頻繁にあるようです。

「レストランなどの飲食店、冠婚葬祭の式場、ホテルの家具とか。傷だらけになったテーブルを綺麗に塗り直すっていうのもやっています。椅子を張り替えたりとかそういったこともやってますね」

お客様からの反応はどうですか?

「こういうサービスがあるとは思ってみなかった、という反応が多いですね。あとは、やっと探したのよ、という方も多いです。もっと早く頼めばよかった、とか。1年とか2年経ってから頼まれる方が多いんです」

まだまだ知られていない、家具の修理・リフォームサービス。
家具が壊れたまま、だましだまし使い続けるという気持ちはわかる気がします。

「壊れた家具のことをふと思い出して、お正月に来客があるからなんとかしなきゃ、という時にご依頼いただいたりします。ものすごく喜んでいただけることが多いです」

新しい家具を買ったときの喜びより、古くて愛着がある家具が、新しく蘇ったときの喜びの方が大きいのかもしれません。

もう直せないかもしれないと、一度諦めた家具が修理できたときは、きっと感動するはずです。

出村 純監修「家具を修理する本」

「一番多いのは婚礼家具でしょうか。婚礼家具もやっぱり親に買ってもらった大切なものの一つです。捨てるのも寂しいという方も多く、かといって、大きなたんすは使わないという。たとえば、そんな婚礼家具のたんすをテレビボードにしたり。愛着があるものを残したい人の気持ちに応えられたときは、本当に喜んでいただけます。形を変えて、一生大切にしていけます」

無茶な依頼をされるときはないのでしょうか?

「ありますよ。そういうときは、これならどうですか、と逆提案します。大きな海外製のソファーを、部屋に入るように真っ二つにできるように加工したりしたこともあります」

一口に家具の修理と言っても、1件1件、まったく違う要望があって、それらに対応できるのは、さすがプロ。

ビジネス的には、ホテルや結婚式場などの椅子やテーブルをまとめて受注した方が、いいような気がしますが……。

「ホテルや式場などの規模の小さな仕事もありがたいですし、その間を埋めるように、個人様から依頼いただくような仕事と、ちょうどバランスが取れているわけです」

なるほど。小さな仕事をお願いするのは申し訳ないという気があったので、ちょっと安心しました。

バラバラになった椅子を組み立てて、ああ直ったっていう小さな感動を体験した人でないとできない仕事

そんな日正産業さんは、元々は、海外へ工場の設備などを運ぶときに木箱などに入れて積み込むための、輸出梱包業を営んでいたそうです。

「私は家具会社でサラリーマンをしていて、家具の修理の相談をするニーズがあると思っていました。そこで、日正産業を引き継いで、新しくインテリアドクターを創業した、という形です」

家具の修理というと、昔からあった仕事を先代から引き継いだというイメージがあったのですが、じつは出村社長が始めた事業だったのです。

「最初は引っ越し業者さんを顧客にしていました。当時は、引っ越しの現場では今ほどしっかりと養生していませんでしたので、頻繁に家具が傷つくことがありました。ニーズがあることはわかっていましたから。そのため、順調に立ち上がっていきました」

「引っ越し業者さんが廊下敷きやコーナー敷きなど、しっかりと養生するようになって、仕事が減りつつあると感じました。それならば、ということで、個人のお客様の需要に対応するようにしていきました」

なかなかできそうでできない、方針転換。

インテリアドクターさんのホームページは、お世辞にも今風とは言えない雰囲気ですが、逆に、いい仕事をしてもらえそうな印象。

実際、そんなホームページを見て、毎日、メールや電話で問い合わせがあるそうです。

「美容院だったり病院だったり、会社の会議室だったり、社長のデスクだとか、もういろんな所からご依頼やお問い合わせをいただきますね」

苦労されている点などはありますか?

「家全体のリフォームをするついでに、家具のリフォームなども依頼されるときは、家のリフォームが終わるまでその家具を預からなければいけません。倉庫のスペースにも限界がありますので、なかなか難しいものがあります」

言いにくそうにおっしゃっていたのは、虫眼鏡で見なければわからないようなミリ単位のところも気にされる細かすぎるお客様にも苦労することがあるとか、ないとか。

どんな商売をやっていても、そういうお客様もいらっしゃいますね。

ところで、売上げ的に苦労されていた時期はあったのですか?

「ありましたね。大幅に落ちることはなかったんですけど、引っ越し業者さんの仕事から一般家庭の仕事中心に切り替えたときには、ちょっと下がりましたね。でも、下がってから、同じタイミングでインターネットが普及してきて。提携したいという会社さんからの問い合わせも増えて、そのおかげで倍ペースに売上げが伸びていきました」

「売上げが落ちても、こちらから出て行く営業はしなかったんです。代わりに考えてたんです、どうしよっかって。あくまで待ちの体制で、考えながら、今いただいている仕事をコツコツやってたって感じでしょうか。同時にホームページを充実させていったり」

ホームページでの集客が成功しているんですね。すばらしいです。

人材募集もされているそうです。

「普通の人じゃダメって言ったら変ですが、やっぱり、小さいころ、プラモデルを作ったことがないっていう方はダメでしょうね。ジグソーパズルでもいいんですけど。バラバラになった椅子を組み立てて、ああ直ったっていう小さな感動を体験した人でないとできないと思います。基本がそれですからね」

出村社長は、プラモデルをたくさん作ったらしい。あとは、家具や照明の配置を考えたりとか、模様替えがやたら好きだったり。

「リビングはやらないらなかったですが、自分の部屋、ベットの配置変えたりとかそういうのは好きだったですね。しょっちゅう変えてました。なんかしっくり来ないなとなったら、すぐ変えるという……」

出た!変わり者。

そこがス・テ・キ。

「そう言われてみれば、小学校の時は工作クラブとか入ってましたね、今思えば」

インタビューを通じて、こういうことを思い出してもらえるのも、インタビュアー冥利に尽きます。ありがたいことです。

ざっくばらんに言うと、手先が器用とか、物を作るのが好きだという人であれば、家具店とか、そういう業界に関わったことがなくてもいいわけでしょうか?

「いいと思います。基本的に、手が器用であれば。大丈夫だと思います。あとは、お客様との会話は出来て欲しいです。お客様の要望を聞いて、その場で修理してしまうときも多いですから」

女性が活躍したりは出来ますか?

「塗装職人さんは女性の方がいます。提携してる塗装会社なんですけど。上手ですよね。美術学校とかを出ていて、絵心がある。家具の傷などの修理にしても、今は需要があるので、男女関係なく、器用な人は稼げると思います」

好きこそ物の上手。そして、手に職ですね、本当に。

家具のことなら、何でも相談してほしい

今後のビジョンも伺いました。

「家具を全部新しく買い換えるのもいいですが、やはり、以前からのお店の雰囲気だったり、そういうものを残すためにリフォームしていく、ということのすばらしさもあります。そんなことをもっと働きかけていきたいです」

「あと、職人さんが減ってきているんですよ。需要が安定して増えてくれば、職人さんも増えてくると思います。当社は日本人ならほとんどの人が知っているような大手の家具会社さんとも何年も前から提携していますので、安定している方ですが」

一流の笑顔で人を引きつける出村社長ですが、営業頭脳も一流のようです。

日本全国、店舗やオフィスの家具のことなら、何でも相談してほしい、ダメ元で声をかけて欲しいということでした。

ニッチな仕事なので、まだまだ知らない人が多いようです。

「以前、テレビのワイドショーで1時間20分くらい特集されました。1日密着っていう感じで。他には読売新聞。そういうときは、7、80件の依頼をいただきました。インターネットをやらない人にもアプローチできるようにして、もっと多くの人に知って欲しいと思います」

需要を掘り起こせれば、すごいことになりそうですね。

大人の事情でオフレコとなったお話もたくさんしていただき、勉強になりました。

輸出梱包業から、家具修理・リフォーム業へ。
そして、引っ越し業者さん中心の仕事から、店舗や一般家庭へと顧客層をシフト。

出村社長の戦略的な事業展開力を伺って、TBSの「がっちりマンデー!!」にネタ提供したくなった榎並でした。

インタビュアー 榎並千陽

日正産業株式会社 代表取締役 出村 純氏インタビュー