今、ホテル業界は、大活況を呈しています。海外から来日する観光客をはじめとする需要が高まっているからです。
これによって、ホテル業界の活性化は確実に起こっています。多方面から資金が投入され、まさに、ホテルも建築ラッシュが続いています。
しかし、健全化できているかどうか、という点は疑問があります。
一般に、ある業界が活性化すれば、忙しくなり、サービスレベルの低下が起こりやすくなります。
また、何も工夫しなくてもお客様が着てくれるので、必要な変化を忘れることもあります。
たとえば、ホテル業界で言うと、畳の和室に泊まる外国人は、初日は喜びますが、二泊目だとつらく、ベッドを求めています。なのに、畳の部屋でもお客様が来る、と思い込んでいるホテルがあるとすれば、リピート客や、購買意欲が高い連泊の顧客を逃すことになりかねません。
さらに、新規にいろんな人が業界に参入してきます。そうなると、必ずしもユーザーのメリットにならないことも起こります。
つまり、活性化と健全化は、相反する物とまでは言いませんが、別物であることは間違いありません。
業界「活性化」のためのコンテンツとオウンドメディア
オウンドメディアには、業界の活性化のためのコンテンツを掲載することができます。
たとえば、このようなコンテンツはいかがでしょうか。
業界の成り立ちや歴史、基本知識などを説明したコンテンツ
その業界が成り立つ以前の話や、業界が形成されたきっかけ、人の世の移り変わりは、多くの読者の興味を引いたり、共感を得ることにつながるでしょう。
歴史をクイズや診断テスト形式で出題しても楽しいでしょう。
参考サイト
業界の役割を再評価できるようなコンテンツ
商売をしていると、
「お客様もこれくらいは知っているだろう。常識だろう」
と思ってしまいがち。
お客様は、ほとんどの場合、素人です。
たとえば、木造建築住宅を販売している場合、知っていそうで、じつは知らない木の家の良さを、客観的な視点から伝えていくのも充分に有効です。
いつも、「当社の木造建築は~」と、自社商品だけを宣伝するのではなく、業界自体の役割を再評価してもらえば、自ずと自社の評価も高まるという寸法です。
業界の縁の下の力持ち、表に出ない人々の活躍にスポットライトを当てたコンテンツ
タイトルは、
「意外なところで役立っている~の秘密」
「暇な人は知ってください!~の役割」
「まさに縁の下の力持ち!目立たず役立つ~たち」
といった記事ですね。
絶対に、普通では思いつかないような内容でなくてもいいのです。
一度、立ち止まって、忘れかけていたものに注目してみましょう。
業界への就職、就労を促すコンテンツ
業界を盛り上げるには、人材が不可欠です。新しい人材を確保するためには、業界をあげて何かをした方が絶対に得します。
予算的にもずいぶん楽になりますし、業界を挙げた取り組みは、うまくいけばマスコミなども取材してくれたり、話題性もあります。
ぜひ、これから業界を盛り上げてくれる人材を増やすためのコンテンツを考えましょう。
業界の「横の繋がり」を促すような連合コンテンツ
業界連合コンテンツを制作するときは、自社が費用を全額負担して、同業他社には無料で相乗りさせてあげるくらいがちょうどいいと思います。
結局は、PR効果など、一番の恩恵は、主催者が得ることになるでしょう。
いっしょに何かをやれば、マスコミからも注目されたり、公共性が出てきて、サイトの価値も向上しやすくなります。
業界の「縦の繋がり」を紹介したコンテンツ
原材料メーカー、資材問屋、企画会社、デザイン会社、卸問屋、小売店など、自社を取り巻く業者さんたちを紹介したりするコンテンツです。
仕事内容や苦労している点、工夫している点などをインタビューしたりして記事にするのもいいでしょう。
そうして、業界の周辺にある関連産業の広がりなどをユーザーに伝えていきます。
業界「健全化」のためのコンテンツとオウンドメディア
オウンドメディアは、業界の健全化に寄与するコンテンツも掲載することができます。
業界のクレームを拾い集め、それに真摯に回答するコンテンツ
たとえば、あくどい業者がいるというクレームがあれば、「悪徳業者の見抜き方」「被害に遭わない方法」を教えるコンテンツなどが有効です。
無料の相談窓口(相談コーナー)を設置するのもいいでしょう。ユーザーからの信頼性が高まりますね。
業界への不満を調査して、それに回答するコンテンツ
たとえば、「営業マンがしつこい」という不満があれば、「しつこい営業マンを上手に断る5つの方法」などのコンテンツを掲載します。
不満買取センターには、膨大な不満が寄せられていて、無料で閲覧することができますので、それらの不満から、自分の業界に関するものをピックアップしてみてください。
参考サイト「不満買取センター」(株式会社Insight Tech)
業界が消滅するときのことを考察したコンテンツ
まるで、自己を否定するようなコンテンツです。
何が何でも自分たちの業界が永遠に必要だと考えることは、不健全なことなのかもしれません。
たとえば、AI(人工知能)によって取って代わられるようなことは、今後頻繁に発生しますが、それがユーザーの幸せにつながっていれば、結果として、今の自分たちの業界は消滅してもいいのではないか、というようなことです。
一例を挙げると、絶対に燃えない建材や塗料が開発されれば、火事にならないので、消防署はいらなくなる、というような発想です。
そうすることによって、逆に、自分たちの存在意義も浮き彫りになることも多いはずです。
一度、「一人会議」でも開いて、自分の業界の未来のことを考えてみてください。業界をよくするいろんなヒントが見つかるかもしれません。
業界を活性化・健全化して得するのは自分
業界を活性化したり、健全化する取り組みはコストや時間がかかります。
その点、オウンドメディアを活用するのでれば、小予算で済みますし、その効果には永続性があります。
そして、業界を盛り上げたりすることは、結局、自分が得するといことを忘れないでください。
敵に塩を送るようなことに思えるかもしれませんが、ライバルよりもよりよい製品やサービスを追求していれば、きっと顧客も認めてくれます。
そもそも、これから縮小していく(とされている)日本の狭い市場で争っている場合じゃないかもしれませんね。
ぜひ、オウンドメディアを利用して、気づかれないうちに、こっそり業界の覇者を目指してください。